弧月独言

ここは私の深呼吸の場である。日々の雑感や好きな歴史のこと、旅に出れば紀行などを記したい。

寒川神社

かねてより「相模の寒川さんは凄い」と聞いていたので、一度は参拝したいと思っていたが、私の今の住まいからは1時間くらいでゆけることを知って、先月、ようやく参拝した。創建がいつか定かではないと云うたいへん古い社だ。祭神は寒川比古命寒川比女命の二柱で、社伝では千六百年の歴史があり、全国唯一の八方除の守護神とされる。朝廷から源頼朝武田信玄徳川将軍家にまで崇敬され、むろん庶民にも篤く信仰された。さすがに相模一之宮に背かぬ堂々たる佇まいで、広々と開放感に溢れた境内は清々しく、空がよく見渡せる。神奈川県の神社では鶴岡八幡宮に次ぐ参拝客を誇るが、何でも昇殿して祈祷する人の数は日本一だとか。

拝殿前には”渾天儀”のレプリカが置かれている。渾天儀とは天体の位置や星を観測する器具である。星の運行は、人々に方角を教えてくれるばかりではなく、国家の命運をも握るとも云う。昔から天体観測により暦が作られ、さらに暦によって日々の吉凶が占われた。寒川神社の渾天儀には、龍は天空を支えるという故事に倣い四隅に龍が配され、台座では青龍、朱雀、白虎、玄武の四神が守護している。星空が近い冬。私も多摩丘陵で天体観測を始めようと思う。何が見え、何を見るだろうか。